核心概念
医師の過半数投票は、AIとの協調において医師の適切なAI依存を促進する。
摘要
本研究は、病理学における視覚的な腫瘍細胞分裂像(mitosis)の検出タスクを対象に、医師の過半数投票がAIとの協調における適切なAI依存を促進することを示した。
研究の概要は以下の通り:
- 32名の病理医が参加し、2段階の実験を行った。
- 第1段階では、医師が手動で腫瘍細胞分裂像を検出した。
- 第2段階では、医師がAIシステムの支援を受けながら腫瘍細胞分裂像を検出した。
- 第2段階の医師の判断を基に、医師の過半数投票による判断を合成した。
- 適切なAI依存を示す2つの指標(相対的AIリライアンス、相対的自己リライアンス)を用いて評価した結果、3名の医師による過半数投票の判断は、1名の医師がAIと協調した場合と比べて、それぞれ約9%、31%高い値を示した。
- 腫瘍細胞分裂像の検出精度と再現率も、3名の医師による過半数投票の判断の方が高かった。
- 過半数投票は、1名の医師がAIと協調した場合と比べて、再現率の相補的チーム性能を達成する可能性が高かった。
本研究の知見は、病理学のみならず、視覚的な高リスクタスクにおける医療従事者とAIの協調に一般化できると考えられる。
統計資料
医師の過半数投票の判断は、1名の医師がAIと協調した場合と比べて、相対的AIリライアンスが約9%、相対的自己リライアンスが約31%高かった。
腫瘍細胞分裂像の検出精度は、医師の過半数投票の判断が0.902、1名の医師がAIと協調した場合が0.824であった。
腫瘍細胞分裂像の検出再現率は、医師の過半数投票の判断が0.843、1名の医師がAIと協調した場合が0.817であった。
引述
"医師の過半数投票は、AIとの協調において医師の適切なAI依存を促進する。"
"本研究の知見は、病理学のみならず、視覚的な高リスクタスクにおける医療従事者とAIの協調に一般化できると考えられる。"