核心概念
小児高度近視の進行に伴い、網膜血管の幾何学的パラメータ、特に血管角度に顕著な変化が見られる。
摘要
本研究は、小児高度近視患者の網膜血管形態変化を定量的に解析することを目的としている。1,324人の小児被験者から2,366枚の高品質な網膜画像と屈折パラメータを収集し、畳み込みニューラルネットワークとアテンションモジュールを組み合わせたAIモデルを用いて、網膜血管の分類、分割、パラメータ測定を行った。
正常眼底と比較して、近視眼底では主血管角(MA)が有意に減少し、特に静脈系で顕著であった。また、分岐係数(BEC)も有意に低下していた。さらに、近視度の進行に伴い、分岐角(BA)と分岐係数(BC)にも有意な変化が見られた。高度近視群では動脈のBAが低下し、静脈のBAが増加していた。
これらの結果は、近視の進行に伴う網膜血管形態の定量的変化を示しており、近視の発症および進行に関連する新しい生物学的マーカーとしての可能性が示唆された。今後の縦断研究により、これらの血管パラメータの変化と視機能の関係をさらに明らかにする必要がある。
統計資料
正常眼底と低度近視の動脈主血管角の平均差は5.43 (95%CI: 1.59 to 9.26, p=0.006)
正常眼底と高度近視の動脈主血管角の平均差は5.12 (95%CI: 0.84 to 9.40, p=0.019)
正常眼底と高度近視の静脈主血管角の平均差は10.63 (95%CI: 6.44 to 14.82, p<0.001)
正常眼底と低度近視の動脈分岐係数の平均差は0.35 (95%CI: 0.19 to 0.51, p<0.001)
正常眼底と高度近視の動脈分岐係数の平均差は0.25 (95%CI: 0.02 to 0.53, p=0.067)
引述
"近視の進行に伴い、網膜血管の幾何学的パラメータ、特に血管角度に顕著な変化が見られる。"
"高度近視群では動脈の分岐角が低下し、静脈の分岐角が増加していた。"
"これらの血管パラメータの変化は、近視の発症および進行に関連する新しい生物学的マーカーとしての可能性がある。"