核心概念
拡張現実技術を活用し、脳室腹腔シャント手術の精度と効率を向上させる。
摘要
本研究は、脳室腹腔シャント手術における拡張現実(AR)技術の活用可能性を探っている。
- 脳室腹腔シャント手術は、水頭症の治療に用いられる手術で、脳室から腹腔への余剰脳脊髄液の排出を行う。
- 手術の際、正確な穿刺点と軌道の特定が重要だが、個人差や人的ミスにより困難が伴う。
- 高精度な3Dスキャンや術中ナビゲーションシステムが存在するが、高コストや設置スペースの問題がある。
- 本研究では、ARを活用し、手術前の3Dモデル作成と術中の可視化を行うことで、手術の精度と効率を向上させる。
- CTスキャンデータから作成した3Dモデルを、マーカーベースのトラッキングを用いてARデバイス(HoloLens 2)上に表示する。
- 3Dプリントした頭蓋骨モデルと仮想モデルを重ね合わせ、穿刺点と脳室の位置関係を明確に示す。
- 実験の結果、ARによる可視化が有効であり、手術時間の短縮や精度向上が期待できることが示された。
- 今後は、実際の手術手順への適用と、ユーザインターフェースの改善などが課題として挙げられる。
統計資料
年間約40万件の水頭症患者が発生する。
脳室腹腔シャント手術の成功率は、従来手法では18.8%に留まるが、ARを用いると90.6%まで向上する。
ARシステムの設定と登録に要する時間は1分未満と非常に短い。
仮想モデルと3Dプリントした頭蓋骨モデルの位置ズレは1cm以内に収まる。
引述
"ARは医療分野、特に脳神経外科において、手術精度の向上と学習曲線の改善に大きな可能性を秘めている。"
"ARを用いることで、手術時間の短縮と人的ミスの低減が期待できる。特に資金的に限られた環境下での活用が期待される。"