核心概念
本論文では、全変動正則化を用いたベイズ画像復元問題に対して、MALA-within-Gibbs (MLwG)サンプリングアルゴリズムを提案する。MLwGは、画像を小さなブロックに分割し、各ブロックに対してMALA提案を用いたギブスサンプリングを行う。この手法は、高次元の画像に対しても、ブロック受容率と収束速度が次元に依存しないことを理論的に示す。また、スムージングによる近似誤差も次元に依存しないことを示す。さらに、ブロックの局所性を利用した効率的な実装方法を提案する。数値実験では、提案手法がMALAに比べて優れた性能を示すことを確認する。
摘要
本論文では、ベイズ画像復元問題に対してMALA-within-Gibbs (MLwG)サンプリングアルゴリズムを提案している。
- 問題設定:
- 線形畳み込み演算子Aによって劣化した観測画像yを得る。
- 全変動(TV)正則化を用いたベイズ推論により、真の画像xtrueを推定する。
- 後見確率密度πは非滑らかであるため、直接サンプリングできない。
- MLwGアルゴリズム:
- 画像xを正方形のブロックに分割し、各ブロックに対してMALA提案を用いたギブスサンプリングを行う。
- ブロックサイズを固定することで、ブロック受容率と収束速度が次元に依存しないことを示す。
- TVの非滑らかさに対処するため、TVをスムージングした近似πεを導入し、その近似誤差が次元に依存しないことを示す。
- 効率的な実装:
- ブロックの局所性を利用し、各ブロックの条件付き確率密度とその勾配を効率的に計算する。
- ブロックの更新を並列に行うスキームを提案する。
- 数値実験:
- 提案手法の次元非依存性を確認する。
- MALAと比較し、提案手法の優位性を示す。
統計資料
観測画像yの分散は0.012^2である。
全変動正則化のパラメータδは35.80である。
提案手法のブロック受容率は約54%である。
提案手法のサンプルの有効サンプルサイズ(nESS)は、問題サイズが大きくなるほど増加する。
引述
"Since the posterior is analytically intractable, we resort to Markov chain Monte Carlo (MCMC) methods."
"However, since most MCMC methods significantly deteriorate in high dimensions, they are not suitable to handle high resolution imaging problems."
"We show how low-dimensional sampling can still be facilitated by exploiting the sparse conditional structure of the posterior."