核心概念
ミトコンドリア未折りたたみタンパク質応答の活性化は、ストレス顆粒の動的な形成を調節し、ミトコンドリアの恒常性を維持する。
摘要
本研究は、ミトコンドリア未折りたたみタンパク質応答(UPRmt)とストレス顆粒(SG)の相互作用について明らかにしている。
- UPRmtの誘導により、初期的かつ一時的なSGの形成が観察された。その後、GADD34の誘導によりSGの解体が促進され、さらなるストレスへの適応が図られた。
- UPRmtの誘導は、eIF2αのリン酸化を抑制することで、続くストレス刺激によるSGの形成を阻害した。この効果はGADD34欠損細胞で回復した。
- UPRmtの誘導により、SG構造タンパク質G3BP1/2の発現上昇が観察され、SG解体が促進された。
- SG形成が抑制された細胞では、ミトコンドリア呼吸機能が改善された。
以上より、UPRmtはSGの動的な形成を調節することで、ミトコンドリアの恒常性維持に寄与することが示された。ストレス応答経路間の連携が、細胞のストレス適応に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
統計資料
ミトコンドリア未折りたたみタンパク質応答の誘導により、eIF2αのリン酸化レベルが3-4倍低下した。
GADD34欠損細胞では、ミトコンドリア未折りたたみタンパク質応答の誘導後もeIF2αのリン酸化が維持された。
ミトコンドリア未折りたたみタンパク質応答の誘導により、ストレス顆粒の平均サイズが0.85 μm2から0.53 μm2に減少し、細胞あたりのストレス顆粒数が32個から57個に増加した。
引述
「ミトコンドリア未折りたたみタンパク質応答の活性化は、ストレス顆粒の動的な形成を調節し、ミトコンドリアの恒常性を維持する。」
「GADD34の誘導は、続くストレス刺激によるストレス顆粒の形成を阻害し、細胞のストレス適応を促進する。」
「ストレス顆粒の形成が抑制された細胞では、ミトコンドリア呼吸機能が改善された。」