本研究は、これまで最大規模の遠隔生理学センシングデータセットであるVitalVideoデータセットを活用し、カメラを用いた生理学的指標の非接触計測に関する包括的な分析を行った。
まず、VitalVideoデータセットを用いて6つの教師なし手法を適用し、肌色ごとの心拍数推定精度を評価した。その結果、肌色が濃くなるにつれて精度が低下する傾向が見られた。
次に、VV100データセット(VitalVideoの100人サブセット)を用いて、3つの教師あり手法(TS-CAN、PhysNet、PhysFormer)を訓練し、PURE、UBFC-rPPG、MMPD-Simpleデータセットで評価を行った。その結果、訓練データの肌色の一貫性が重要であり、特に濃い肌色の被験者に対する精度が高くなることが分かった。
さらに、VV100データセットを用いて、PURE、UBFC-rPPG、MMPD-Simpleデータセットで訓練したモデルの性能を評価した。その結果、全体的に浅い肌色の被験者に対する精度が高く、深い肌色になるにつれて精度が低下する傾向が見られた。
以上の結果から、数百人規模のデータセットでも効果的なモデル訓練が可能であり、特に肌色の一貫性が重要であることが明らかになった。本研究は、遠隔生理学センシングの発展に大きく貢献するものと期待される。
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