核心概念
電力線の停電決定を最適化する際、電力流モデルの選択は解の品質と計算時間のトレードオフに大きな影響を与える。線形近似モデルは計算時間が短いが解の品質が低く、非線形モデルは解の品質が高いが計算時間が長い。適切なモデル選択が重要である。
摘要
本論文は、最適停電問題(OPS)における電力流モデルの選択が解の品質と計算時間のトレードオフに及ぼす影響を分析している。
OPS問題は、送電線の停電決定を最適化し、停電による負荷遮断と火災リスク削減のバランスを取るものである。従来の研究では、計算時間の短い線形近似モデルが用いられてきたが、これらのモデルは現実の交流電力流を正確に表現できないため、最適な停電決定を導出できない可能性がある。
本論文では、OPS問題に対して、交流(AC)、二次錐(SOC)、直流(DC)、ネットワークフロー(NF)の4つの電力流モデルを適用し、解の品質と計算時間を比較分析している。
分析の結果、以下のことが明らかになった。
- DC-OPS、NF-OPSは計算時間が短いが、停電後の実際の負荷遮断量を大幅に過小評価する。
- SOC-OPSは解の品質が高く、AC-OPSよりも優れた解を得られる。
- AC-OPSは解の品質が高いが、計算時間が非常に長い。
これらの結果から、現在の最適化ソルバの性能では、解の品質と計算時間のトレードオフを避けられないことが示された。今後、高品質な解を短時間で得られるアルゴリズムの開発が必要である。
統計資料
電力線の停電後の実際の負荷遮断量は、DC-OPS、NF-OPSでは最大で約17%過小評価される。
SOC-OPSでは、ほとんどの場合で実際の負荷遮断量との差が20%未満に抑えられる。
引述
"DC power flow does not account for reactive power flows and voltage constraints, and produces solutions that are not AC power flow feasible [11]."
"SOC-OPS solutions even outperform the AC-OPS solutions, because the AC-OPS becomes stuck at local optima."