核心概念
部屋の反射特性プロトタイプを作成する際、受信位置の推定距離に基づいて重み付けを行うことで、最適な聴取位置での精度を高めつつ、聴取エリア全体での頑健性を維持する。
摘要
本論文では、部屋の反射特性(Room Impulse Response: RIR)プロトタイプを作成する新しい手法を提案している。従来の手法では、複数の受信位置での RIR を単純に平均化していたが、本手法では受信位置の推定距離と、スピーカーの指向性特性に基づいて重み付けを行う。
具体的には以下の手順で行う。
- 2つのスピーカー位置と複数の受信位置での RIR を測定する。スピーカー間の距離は既知とする。
- RIR から受信位置の距離を推定する手法を提案する。これにより、受信位置の座標を推定できる。
- 最適聴取位置からの距離と、スピーカーの指向性特性に基づいて、各受信位置の RIR に重み付けを行う。
- 重み付けした RIR の平均値をプロトタイプ RIR とする。
提案手法と従来手法を、シミュレーションによって比較評価した。その結果、提案手法は最適聴取位置での精度を向上させつつ、聴取エリア全体での頑健性も維持できることが示された。
統計資料
受信位置の推定距離の平均誤差は4.6mm、標準偏差は3.45mmであった。
最適聴取位置での周波数特性偏差は0.2dB改善された。
聴取エリア全体での周波数特性偏差は0.02dB増加にとどまった。
引述
"部屋等化は、過去45年間にわたる主要な研究開発分野の1つであり、映画音響システム、家庭用HI-FI products、最近ではネットワークオーディオデバイスなど、多くの用途がある。"
"部屋の反射特性(RIR)の変動性は、すべての用途が直面する課題の1つである。"