核心概念
特徴抽出の必要性を動的に判断することで、特徴抽出のオーバーヘッドを最小限に抑えつつ、マルチオブジェクトトラッキングの精度を維持する手法を提案する。
摘要
本論文では、マルチオブジェクトトラッキング(MOT)における特徴抽出の必要性を動的に判断する手法を提案している。従来のMOTアルゴリズムでは、全ての検出対象に対して特徴抽出を行うため、計算コストが高くなるという問題があった。
提案手法では、以下の3つのステップを導入することで、特徴抽出の必要性を動的に判断し、計算コストを大幅に削減しつつ、精度を維持する。
- 検出対象の候補トラックレットが1つしかない場合は、特徴抽出を行わずにトラッキングを行う。
- 検出対象の形状が大きく異なる場合は、特徴抽出を行う必要があると判断する。
- 特徴ベクトルの時間的な減衰を模倣することで、長期的な occlusion に対するロバスト性を向上させる。
実験の結果、提案手法はMOT17およびDanceTrackデータセットにおいて、フレームレートを80%および52%向上させつつ、精度を維持することができた。さらに、一部のシナリオでは、特徴抽出を行わない場合でも精度が向上することが示された。
統計資料
検出対象の特徴抽出を行わない割合が80%の場合、MOT17データセットでフレームレートが80%向上した。
検出対象の特徴抽出を行わない割合が52%の場合、DanceTrackデータセットでフレームレートが52%向上した。
引述
特徴抽出は、マルチオブジェクトトラッキングにおける主要な計算コストの原因であるが、occlusion に対するロバスト性を高める重要な要素でもある。
特徴抽出の必要性を動的に判断することで、計算コストを大幅に削減しつつ、精度を維持することができる。