核心概念
本稿では、書誌計量指標、特に破壊的指標の算出に伴う分析の柔軟性と、それがもたらす結果の不確実性について論じ、マルチバース的手法の適用による透明性と頑健性の向上を提唱する。
摘要
書誌計量指標の多様性とマルチバース的手法:破壊的指標を例に
本稿は、学術論文における破壊的指標を例に、書誌計量指標の算出に伴う分析の柔軟性と、それが研究結果の信頼性に及ぼす影響について論じたものである。
データ分析において、研究者は結果に影響を与える多くの決定を迫られる。データ分析には複数の正当なアプローチが存在することが多く、同じ研究課題に対しても、分析者(チーム)によって異なる結果が導き出される可能性がある。近年の研究では、経験的調査における不確実性の潜在的な範囲が示されている。Schweinsberg et al. (2021) の研究では、19人の分析者に同じデータと研究課題が与えられたが、分析アプローチや主要変数の操作化の違いにより、広範囲にわたる結果が得られた。
Schweinsberg et al. (2021) や類似の研究 (Breznau et al., 2022; Huntington-Klein et al., 2021; Silberzahn et al., 2018) の結果は、指標に基づく研究、特に書誌計量学において非常に重要である。なぜなら、書誌計量指標の仕様には、しばしばかなりの自由度が伴うからである。同じ書誌計量指標の異なる仕様が異なる研究結果につながる可能性は、書誌計量研究の信頼性を脅かす可能性がある。
本稿では、破壊的指標 (DI1) を例に、指標に基づく書誌計量研究の分析の柔軟性とその結果について考察する。また、書誌計量分析の透明性と頑健性を高めるために、マルチバース的手法の適用を推奨する。