Основні поняття
ジニ係数は不平等を測る指標として広く使われているが、人々の不平等に対する認識と必ずしも一致しない。特に、所得移転に対する人々の評価は、ジニ係数の考え方が前提とする「貧困層への移転は常に不平等を減少させる」という原則とは異なる場合がある。
Анотація
ジニ係数:人々の不平等観とのずれ
本論文は、フランス国民を対象としたウェブ実験を通じて、人々の不平等に対する認識とジニ係数の関係を検証している。
実験では、参加者に仮想社会における所得分布の比較を依頼し、所得移転に対する評価を分析した。その結果、以下の点が明らかになった。
所得移転への評価
ピグー・ダルトンの移転原則(高所得者から低所得者への移転は不平等を減少させる)への支持は、回答者の約38%にとどまった。
一方、低所得者間での均等な移転(UL移転)や、高所得者からの均等な負担による移転(UR移転)、その両方を組み合わせた移転(URL移転)は、より高い支持を得た。特に、URL移転への支持は60%を超えた。
この傾向は、回答者の社会経済学的属性(性別、教育水準、政治的立場、雇用形態)や、移転前の所得分布の形状に関係なく、概ね一貫して見られた。
社会厚生関数との関連
参加者の選好を社会厚生関数として推定した結果、拡張ジニモデルは、功利主義モデルよりも適合性が高いことが示された。
しかし、拡張ジニモデルであっても、ピグー・ダルトン原則を満たすもの(ジニ係数を含む)は、個々の参加者の選好を十分に捉えきれていない。
一方で、興味深いことに、中央値の個人の選好は、パラメトリック推定、ノンパラメトリック推定のいずれにおいても、ジニ係数に基づく関数とほぼ完全に一致した。
これらの結果は、人々が不平等を評価する際、単に所得の格差だけでなく、移転の受益者・負担者の範囲や、社会全体の所得分布構造も考慮に入れている可能性を示唆している。