本研究では、サイクリン依存性キナーゼ8(CDK8)とCDK19のダブルノックアウト(DKO)マウスを初めて作出し、その表現型を解析した。DKOオス個体では生殖器官が萎縮し、不妊となることが明らかになった。
DKOマウスでは、精子形成が減数分裂I期の pachytene 期で停止していた。テストステロンレベルは低下していたが、黄体形成ホルモンの量に変化はなかった。一細胞RNA sequencingの結果、ライディッヒ細胞における ステロイド合成関連遺伝子(Cyp17a1、Star、Fads)の発現が著しく低下していることが示された。一方、セルトリ細胞では細胞骨格とセルトリ-精子細胞間の接着に関連する遺伝子の発現変化が認められた。
DKOによる表現型は、CDK8/19の酵素活性阻害では再現されず、むしろCcnCの枯渇が主な原因と考えられる。CDK8/19はCcnCの安定化に重要な役割を果たしており、この機能が精子形成の維持に必要であることが示唆された。
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