本研究では、視覚的作業記憶における注意の動的な方向付けと再方向付けを調べた。
まず、レトロキューに対する注意の方向付けを、EEG-アルファ活動の空間的な偏りとサッカードの方向性バイアスを指標として検討した。その結果、キューの信頼性が高いほど、これらの指標における空間的な偏りが大きくなることが示された。
次に、記憶テストに対する注意の再方向付けを検討した。キューの信頼性が100%の場合、記憶テストに対する注意の再方向付けは見られなかった。一方、キューの信頼性が80%や60%の場合、記憶テストに対して注意が再方向付けられた。この注意の再方向付けは、予期された記憶テストと予期されない記憶テストの両方で観察された。
ただし、予期されない記憶テストの場合、注意の再方向付けは遅延せずに長期化した。これは、予期されない記憶テストに対する行動反応の遅延と一致する。
以上の結果は、作業記憶内の注意の再方向付けを示すものであり、記憶テストが内的な注意の焦点の確認や修正を引き起こすことを示唆している。
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