本研究では、ゼブラフィッシュを用いて、β1アドレナリン受容体(β1AR)が脳動静脈奇形(CCM)の発症に重要な役割を果たすことを示した。
まず、CRISPR-Cas9を用いてadrb1遺伝子をノックアウトしたゼブラフィッシュを作出した。adrb1ノックアウト個体では、心拍数や心収縮力の低下が見られたが、血管発達には異常がなかった。
次に、ccm2遺伝子をCRISPRで不活性化したゼブラフィッシュを用いて実験を行った。野生型個体では、発生初期に尾静脈叢(CVP)の拡張が観察されたが、adrb1ノックアウト個体ではこの異常が大幅に抑制された。
成体期のCCM病変についても検討した。ccm2 CRISPR個体の脳を透明化処理し、光シート顕微鏡で観察したところ、adrb1ノックアウト個体では病変体積が87%減少していた。
さらに、β1選択的阻害剤のメトプロロールを投与した個体でも、CCM病変の著明な抑制が確認された。
以上の結果から、β1ARの阻害がCCMの発症を抑制することが示された。β1AR阻害は心機能の低下を介して血流を減少させ、CCM形成を防いでいると考えられる。一方、ccm2欠損によるKLF2aの発現上昇は、β1AR阻害では抑制されなかった。
本研究はCCMの発症機序におけるβ1ARの重要性を明らかにし、選択的β1AR阻害剤がCCMの治療薬として有望であることを示唆している。
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by Li,W., McCur... 在 www.biorxiv.org 05-05-2024
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