本研究では、緊急医療部門(ED)における患者の診断と悪化予測のためのベンチマークデータセット「MDS-ED」を提案した。MDS-EDは、MIMIC-IVデータベースを基に構築されており、患者の到着から1.5時間以内のデータを用いている。具体的には、患者の属性、バイタルサイン、検査値の推移、心電図波形などの多様なデータモダリティを含んでいる。
MDS-EDでは、1,428の診断名(ICD-10-CM)と15の悪化指標(死亡、ICU入室、人工呼吸器使用など)を予測対象としている。提案したマルチモーダルモデルは、診断予測においてマクロAUROCが0.8256、悪化予測においてマクロAUROCが0.9115と高い精度を達成した。特に、心電図波形データの活用が予測精度の向上に寄与することが示された。
本研究成果は、緊急医療における意思決定支援システムの開発に大きな貢献が期待される。提案したデータセットと評価プロトコルは、医療AI分野における研究の発展と実用化に向けた重要なリソースとなる。
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