本研究では、自然画像の視覚的基盤モデルであるSAMを応用し、病理学的プリミティブの検出と分割を行う新しい手法を提案している。
まず、SAMのエンコーダ部分を固定し、特徴抽出に利用する。次に、エンコーダの各層から特徴を抽出し、階層的に統合することで、物体検出と分類を行う。最後に、検出したバウンディングボックスをSAMのデコーダに入力することで、セグメンテーションマスクを生成する。
この手法により、人手による注釈の必要性を大幅に削減しつつ、高精度な分割結果を得ることができる。実験では、PanNukeデータセットとHuBMAPデータセットを用いて評価を行い、従来手法と比較して優れた性能を示した。
特に、PanNukeデータセットにおいては、バイナリパノプティック品質(bPQ)とダイス係数の指標で最良の結果を得た。また、HuBMAPデータセットでは、バウンディングボックス予測の平均精度(AP)で4.5%の改善を達成した。
本手法は、病理学的プリミティブの自動検出と分割に有効な手法であり、病理診断の自動化に貢献できると期待される。
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