この論文は、自己直交線形符号の新しいクラスを定義集合アプローチを用いて構築し、その特性や応用について考察しています。
論文では、有限体$F_{p^s}$上の線形符号$C_D$を定義集合を用いて構築しています。定義集合Dは、トレース関数を用いて定義され、符号$C_D$は定義集合Dの要素を用いて構成されます。
論文では、構築した線形符号$C_D$の重み分布をガウス和を用いて解析し、明示的に求めています。具体的には、符号語のハミング重みを定義集合Dの要素数と関連付け、ガウス和を用いて要素数を計算することで重み分布を導出しています。
論文では、構築した線形符号$C_D$が特定の条件下で自己直交符号となることを示しています。自己直交符号は、符号語同士の内積が常に0となる性質を持ち、量子符号や格子理論などに応用されています。
論文では、構築した線形符号$C_D$の双対符号$C_D^\perp$のパラメータを決定し、$C_D^\perp$が特定の条件下でalmost maximum distance separable (AMDS)符号となることを示しています。AMDS符号は、符号長に対して可能な限り大きな最小距離を持つ符号であり、誤り訂正符号として優れた性能を持つことが知られています。
論文では、構築した自己直交線形符号$C_D$を量子符号とLCD符号に応用しています。
論文では、$C_D$を用いて新しい量子符号を構築し、量子Singleton限界に基づいてMDS符号またはAMDS符号となることを示しています。また、構築した量子符号が既存の量子符号よりも優れたパラメータを持つことを例示しています。
論文では、$C_D$を用いて新しいLCD符号を構築し、球充填限界に基づいてほぼ最適な符号であることを示しています。
この論文は、定義集合アプローチを用いて自己直交線形符号の新しいクラスを構築し、その重み分布を決定し、量子符号やLCD符号などの応用について考察しています。構築された符号は、既存の符号よりも優れたパラメータを持つ場合があり、今後の符号理論の発展に貢献することが期待されます。
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