核心概念
有限群Gとその上の4-コサイクルπが与えられたとき、Drinfeld中心Z₁(2Vect^π_G)内の連結かつラグランジアンなエタール代数を完全に分類できる。さらに、この分類結果を用いて、任意のボソニック融合2-圏を分類することができる。
摘要
エタール代数とボソニック融合2-圏の分類について
この論文は、Drinfeld中心Z₁(2Vect^π_G)内のエタール代数の分類と、その分類結果を用いたボソニック融合2-圏の分類について述べています。
エタール代数は、任意のブレイド融合圏B内で定義される分離可換代数です。エタール代数Aは、Hom_B(I, A) = 1であるとき連結と呼ばれ、さらに、その局所加群の圏Mod^loc_B(A)がVectと同値であるとき、ラグランジアン代数と呼ばれます。
エタール代数は、ブレイド融合圏間のWitt同値を定義するための重要な要素です。融合圏CのDrinfeld中心Z₁(C)は、M¨uger中心Z₂(Z₁(C)) ≃ Vectを持つブレイド融合圏です。M¨uger中心がVectと同値であるブレイド融合圏は、非退化と呼ばれます。
非退化ブレイド融合圏Bは、ある融合圏のDrinfeld中心と同値であるとき、Witt自明と呼ばれます。Witt同値は、Witt自明類を法として定義される、非退化ブレイド融合圏上の同値関係です。
この論文では、有限群Gとその上の4-コサイクルπが与えられたとき、Drinfeld中心Z₁(2Vect^π_G)内の連結かつラグランジアンなエタール代数を完全に分類しています。
定理5.11 (連結エタール代数の分類)
Z₁(2Vect^π_G)内の連結エタール代数は、以下のデータで決定されます。
共役を除いて定まるGの部分群H
Hの正規部分群N
H作用γ: H → Aut_br(A)を持つブレイド融合圏A
4群射H/N × B₃k^× → BrPic(Mod(A))
可逆な2射:
H -----> Aut_br(A)
| |
| γ |
| |
V V
H/N × B₃k^× -----> BrPic(Mod(A))
(q,π|H)
系5.12 (ラグランジアン代数の分類)
Z₁(2Vect^π_G)内の連結エタール代数(定理で述べられたデータで決定される)は、Aが非退化でN = Hである場合にのみラグランジアンになります。言い換えれば、Z₁(2Vect^π_G)内のラグランジアン代数は、以下の条件を満たす列(H, A, γ, θ, φ)と同値です。
Hは、共役を除いて定まるGの部分群
Aは、H作用γを持つ非退化ブレイド融合圏
3群射θ: H ⋊_π B₂k^× → Pic(A)は、Aのπ|H-ツイストH-交差拡大に対応する
φは、H-交差ブレイド融合2圏の同値性:
2Vect^π|H_H ⊠ Fun(H,2Vect) Z^H_1(Mod(A)) ≃ 2Vect_H ⊠ Z₁(Mod(A))