核心概念
REBCO テープの90度ピールテストは、銅層の厚さとRRRの影響を大きく受けるものの、大量のテープの中から剥離強度の低いものを迅速に特定できる有効な品質保証ツールである。
摘要
書誌情報
Lu, J., Levitan, J., Hutley, A., & Bai, H. (2024). REBCO delamination characterization by 90 degree peel test. 2024 IEEE International Conference on Applied Superconductivity and Electromagnetic Devices (ICASED).
研究目的
本研究では、REBCO テープの剥離強度を評価するために、特に銅層の厚さと残留抵抗比(RRR)がピール強度に及ぼす影響に焦点を当て、90度ピールテスト法の有効性を検証することを目的とする。
方法
- 市販の SuperPower 社製 REBCO テープ(銅安定化層厚さ 20 µm)を用いて90度ピールテストを実施。
- 銅層の厚さを変化させたサンプルを作製し、ピール強度の測定を実施。
- 銅層の RRR を変化させたサンプルを作製し、ピール強度の測定を実施。
- 測定結果と銅層の厚さおよび RRR の相関性を分析。
主な結果
- 銅層の厚さが減少するにつれてピール強度が増加する傾向が見られた。
- 銅層の RRR が高いほどピール強度も高い傾向が見られた。
- 銅層の厚さと RRR の影響を考慮してピール強度を正規化した結果、剥離強度の非常に低いREBCO テープをいくつか特定することができた。
結論
- 90度ピールテストは、銅層の厚さと RRR の影響を受けるものの、REBCO テープの剥離強度を評価するための有効な品質保証ツールであると言える。
- 特に、銅層の厚さが同一で、同一プロセスで製造された大量の REBCO テープの中から、剥離強度の低いものを迅速に特定するのに有効である。
- 測定されたピール強度は、銅層の厚さと RRR を考慮して正規化する必要がある。
意義
本研究は、REBCO テープの品質保証プロセスにおいて、90度ピールテストが有効なツールとなりうることを示唆している。
制限と今後の研究
- 本研究では、銅層の厚さと RRR 以外の要因(例えば、銅層の機械的特性や界面の微細構造など)がピール強度に及ぼす影響については検討していない。
- 今後は、これらの要因がピール強度に及ぼす影響についても検討する必要がある。
- また、他の剥離強度試験法との相関性についても検討する必要がある。
统计
スコッチ®マジックTMテープを用いて校正した結果、測定されたピール強度は1.06 N/cmであり、報告されているピール強度1.1 N/cmと一致した。
5つのサンプルの平均ピール強度は0.85 N/cm、標準偏差は0.09 N/cmであった。
銅層の厚さを20 µmから変化させた結果、ピール強度は銅層の厚さの減少に伴い増加することがわかった。
74個の導体スプール(全長10 km以上)のピール強度とRRRのデータを分析した結果、ピール強度は銅のRRRと相関していることがわかった。
銅層をアルゴン中で30分間、異なる温度でアニールした結果、アニール温度の上昇に伴い、RRRとピール強度が共に増加することがわかった。
74個のサンプルについて、RRR = 50に正規化したピール強度の平均は0.57 N/cm、標準偏差は0.24 N/cmであった。
引用
"Evidently the peel strength increases with decreasing Cu thickness consistent with previously reported peel test of Cu-Cr film on silicon [10], [11]."
"Since the interfaces are nearly identical for these samples, the different peel strength strongly suggests that the measured peel strength is not sole property of the interfaces. It contains a significant contribution from the bending of the copper layer."
"We studied the correlation between the peel strength and other quality assurance data of REBCO, and found surprisingly that peel strength is correlated with RRR of the copper."
"This experiment strongly suggests that higher peel strength in Fig. 5(a) is the consequence of the softer copper layer."
"The 90 degree peel test developed in this work has the advantage of applicable to quality control and quality assurance process to quickly identify conductors with low delamination strength."