核心概念
大気CO2濃度上昇はシロイヌナズナの葉のイオノーム含量を全体的に減少させるが、遺伝的多様性により、この反応には大きな幅がある。遺伝解析により、CO2濃度上昇によるイオノーム変化に関与する多数の遺伝子が同定された。
摘要
本研究では、世界規模、地域規模、局所規模の地理的分布を持つ600系統のシロイヌナズナを用いて、大気CO2濃度上昇がイオノーム組成に及ぼす負の影響の遺伝的基盤を解析した。
- 大気CO2濃度上昇は、地理的分布に関わらず、シロイヌナズナの葉のイオノーム含量を全体的に減少させた。特に窒素(N)と鉄(Fe)の含量が大きく減少した。
- しかし、系統間で大気CO2濃度上昇に対するイオノーム応答には大きな遺伝的多様性が見られた。一部の系統では、イオノーム含量が上昇したり、影響を受けなかったりした。
- 遺伝解析の結果、CO2濃度上昇によるイオノーム変化に関与する多数のQTLと遺伝子が同定された。これらの遺伝子の多くは、CO2濃度上昇によって発現が変動していた。
- 同定された遺伝子の1つであるTIP2;2について詳細に解析したところ、この遺伝子の発現変動がZn含量の変化に関与することが明らかになった。
以上の結果は、大気CO2濃度上昇によるイオノーム変化の遺伝的基盤を理解し、CO2濃度上昇に適応した作物の開発につながる重要な知見を提供する。
统计
大気CO2濃度上昇により、シロイヌナズナの葉のN含量は平均で20%減少した。
大気CO2濃度上昇により、シロイヌナズナの葉のFe含量は平均で50%減少した。
大気CO2濃度上昇により、シロイヌナズナの葉のZn含量は平均で60%減少した。
引用
"大気CO2濃度上昇は、地理的分布に関わらず、シロイヌナズナの葉のイオノーム含量を全体的に減少させた。"
"しかし、系統間で大気CO2濃度上昇に対するイオノーム応答には大きな遺伝的多様性が見られた。"
"遺伝解析の結果、CO2濃度上昇によるイオノーム変化に関与する多数のQTLと遺伝子が同定された。"