本研究は、高解像度の構造MRI、拡散MRI、機能MRI、および大規模PETデータを統合的に分析することで、視床下核の複雑な組織化原理を明らかにした。
主な知見は以下の通り:
視床下核の機能的・構造的結合パターンは、皮質-皮質間の階層的な機能的組織化を反映している。視床下核の腹側から背側にかけて、一次感覚野から高次連合野への機能的結合が連続的に変化する。
この機能的組織化は、視床下核内の構造的結合パターンおよび神経伝達物質受容体の発現パターンと密接に対応している。背側視床下核では高次連合野との結合が強く、ドパミン受容体や NMDA受容体の発現が高い一方、腹側視床下核では一次感覚野との結合が強く、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み担体の発現が高い。
視床下核の機能的・構造的・分子的組織化は、連続的なグラデーションを示し、従来の解剖学的核分割とは必ずしも一致しない。
この多重のグラデーション構造は、視床下核の高次機能への関与を理解する上で重要な示唆を与え、神経疾患における視床下核の役割解明にも寄与する可能性がある。
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