核心概念
時間変化する事前情報のないコスト関数、状態制約、入力制約、外乱の影響を受ける線形時不変システムのロバスト制御を実現するオンライン凸最適化アルゴリズムとその理論的性能保証。
摘要
本論文は、時間変化する事前情報のないコスト関数、状態制約、入力制約、外乱の影響を受ける線形時不変システムのロバスト制御問題を扱っています。この問題に対して、オンライン凸最適化(OCO)の枠組みとロバストモデル予測制御の手法を組み合わせたアルゴリズムを提案しています。
提案アルゴリズムの特徴
- ロバストな制約充足: ロバストMPCの手法を用いた制約のタイトニングにより、外乱や測定ノイズが存在する場合でも、状態制約と入力制約の両方を確実に満たすことができます。
- 動的リグレットの最小化: 提案アルゴリズムは、動的リグレットと呼ばれる性能指標を最小化するように設計されています。動的リグレットは、アルゴリズムによって生成された制御入力と、最適な制御入力系列(事後的にしか計算できない)との間の累積的な性能差を測定します。
- 計算量の削減: オンライン最適化手法を採用することで、従来の最適制御手法と比較して計算量を削減できます。
理論的性能保証
提案アルゴリズムの性能は、動的リグレットの観点から分析されています。具体的には、以下の結果が示されています。
- 動的リグレットの上限: 提案アルゴリズムの動的リグレットは、コスト関数の変動と外乱の大きさに線形的に依存する上限を持つことが証明されています。
- 漸近安定性: ノミナルな設定(外乱がない場合)では、動的リグレットの上限が線形であることから、最適な定常状態への漸近安定性が保証されます。
数値シミュレーション
提案アルゴリズムの有効性を検証するために、自動運転車の追従制御問題の数値シミュレーションが行われています。シミュレーションの結果、提案アルゴリズムは、外乱や測定ノイズが存在する場合でも、制約を満たしながら良好な追従性能を達成することが確認されています。
まとめ
本論文では、制約付き動的システムのロバスト制御のためのオンライン凸最適化アルゴリズムを提案し、その理論的性能保証を示しました。提案アルゴリズムは、外乱や測定ノイズが存在する場合でも、制約を満たしながら良好な制御性能を達成することができます。