本論文は、偏波再構成可能(PR)アンテナを備えたMISO(Multiple-Input Single-Output)システムを対象としている。PR-MISOシステムでは、チャネル状態情報(CSI)に基づいて各アンテナ素子の偏波ベクトルを調整することで、スペクトル効率とエネルギー効率を向上させることができる。しかし、PR アンテナによって自由度が増加すると、パイロット信号の設計と推定が困難になる課題がある。
本論文では、この課題に対して、基地局(gNB)と端末(UE)の両方で深層学習(DNN)を用いることを提案する。具体的には、gNBとUEがそれぞれ独立したDNNを用いて、受信したパイロット信号から直接最適な偏波ベクトルとビームフォーミングベクトルを導出する。これにより、明示的なチャネル推定を行うことなく、パイロット信号の使用量を大幅に削減できる。
シミュレーション結果から、提案手法は従来の推定後最適化方式と比べて、パイロット長が短い場合に最大20%のビームフォーミング利得の向上が得られることが示された。特に、gNBのRFチェーン数が限られている場合に提案手法の優位性が高くなることが確認された。
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