Kernekoncepter
再帰型ニューラルネットワークアーキテクチャ(RNN、GRU、LSTM)を用いて、リモートセンシングデータから森林の総一次生産量を推定することができる。特に、LSTMは気候変動に伴う極端な総一次生産量の変動を予測する際に優れた性能を示す。
Resumé
本研究では、再帰型ニューラルネットワークアーキテクチャを用いて、リモートセンシングデータから森林の総一次生産量(GPP)を推定する手法を提案している。具体的には、RNN、GRU、LSTMの3つのモデルを比較・検討している。
データ準備では、2016年から2020年の期間について、ICOS 2020 Warm WinterデータセットからGPP値を取得し、Sentinel-2、Sentinel-1、MODISデータなどのリモートセンシングデータを統合した。欠損値の補完や前処理を行った上で、2016-2018年を学習データ、2019-2020年をテストデータとして使用した。
モデルの評価では、全期間、成長期、気候変動に伴う極端なGPP変動の3つの設定で、正規化RMSE(NRMSE)を指標として比較した。その結果、3つのモデルは全期間や成長期の予測では同等の性能を示したが、気候変動に伴う極端なGPP変動の予測ではLSTMが最も優れた性能を示した。
特徴量重要度の分析では、全モデルにおいて、シミュレーションによる純放射量が最も重要な特徴量であることが明らかになった。また、LSTMでは地表面温度(LST)の特徴量が気候変動に伴う極端なGPP変動の予測に有効であることが示された。
以上より、再帰型ニューラルネットワークを用いることで、リモートセンシングデータから森林のGPPを効果的に推定できることが示された。特にLSTMは気候変動に伴う極端なGPP変動の予測に優れた性能を発揮することが明らかになった。
Statistik
シミュレーションによる純放射量は、全モデルにおいて最も重要な特徴量である。
LSTMでは、地表面温度(LST)の特徴量が気候変動に伴う極端なGPP変動の予測に有効である。