Concepts de base
変換器ベースのリソースと同期発電機が混在する電力ネットワークにおいて、一意の局所的に安定な同期モードが存在するための必要十分条件を導出した。この結果は、グリッドフォロー型インバータとグリッドフォーミング型インバータの使い分けによってネットワークの安定性を高めるための指針を示している。
Résumé
本論文では、変換器ベースのリソース(IBR)と同期発電機(SG)が混在する電力ネットワークの同期化問題を扱っている。
まず、ネットワークのトポロジーを「ハブアンドスポーク」型として、1台の大容量SG と多数の小容量IBRで構成されるモデルを考えた。このモデルは、大規模原子力発電所や大規模水力発電所を中心とした地域の電力ネットワークに対応する。
次に、IBRの慣性定数が非常に小さいことを利用して、元の微分方程式系を簡略化した「縮退システム」を導出した。この縮退システムを用いて、同期モードの存在条件と安定条件を導出した。
具体的には、以下の結果を示した:
- 同期周波数は、全発電機の出力と減衰の比で決まる。
- 同期モードの存在には、各IBRの出力と減衰の関係が、結合係数を上回る必要がある(必要条件)。
- 同期モードの安定性には、各IBRの減衰係数が適切な範囲にある必要がある(十分条件)。
- 上記の条件から、出力の大きいIBRはグリッドフォーミング型インバータ、出力の小さいIBRはグリッドフォロー型インバータを使い分けることで、ネットワークの安定性を高められることが示唆された。
本研究の成果は、変換器ベースの発電設備が大量導入された電力ネットワークの周波数安定化に寄与するものと期待される。
Stats
同期周波数 ωsync = Σ Aj / Σ Dj
同期モードの存在条件: Ki1 ≥ |Diωsync - Ai|
同期モードの安定条件: Ki1^2 > (D1Diωr/(2H1))^2 + (Diωr - Ai)^2
Citations
"変換器ベースのリソースが急速に従来の同期発電機を置き換えつつあり、電力システムのパラダイムシフトを引き起こしている。"
"同期化の問題は、数学者や技術者の長年の関心事であり、再生可再生エネルギー技術の台頭により、近年特に注目を集めている。"