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本稿では、任意のスタビライザー符号から、任意のグラフ上で局所的に実装可能な低オーバーヘッドのサブシステム符号を構築する汎用的な手法である「ワイヤコード」を提案する。
Kivonat
ワイヤコード: 概要
本論文は、量子情報処理において重要な役割を果たす量子誤り訂正符号、特にサブシステム符号に関するものです。従来の効率的な符号は高度な空間的接続性を必要とするため、物理的なハードウェアの接続性の制約下ではオーバーヘッドが大きくなるという課題がありました。本論文では、任意のスタビライザー符号を、指定されたグラフ上で局所的な相互作用を持ち、重みと次数が3のサブシステム符号に変換する汎用的な手法である「ワイヤコード」を提案しています。
ワイヤコードは、入力となるスタビライザー符号のタナーグラフを3価分解し、各辺に可変長を割り当てることで構築されます。符号のパラメータは、入力符号の符号長n、符号化量子ビット数k、符号距離d、最大チェック重みω、量子ビット次数δ、ワイヤコードの最長辺の長さℓmaxを用いて、以下のように関連付けられています。
入力符号:[[n, k, d]]
出力ワイヤコード:[[O(ℓmaxδn), k, Ω(1/(wd))]]
ワイヤコードは、入力タナーグラフの低密度埋め込みをサポートする任意のグラフ上で局所的に実装でき、オーバーヘッドは埋め込みに依存します。
本論文では、ワイヤコードの応用例として、超立方格子およびエキスパンダーグラフ上での実装について述べています。
超立方格子: 任意の固定空間次元Dにおいて、最適なスケーリング符号パラメータを持つ局所サブシステム符号の構築が可能になります。具体的には、良好なqLDPC符号をD次元ユークリッド空間に埋め込むことで、[[n^(D/(D-1)), Θ(n), Θ(n)]]の符号パラメータを持つ符号を構築できます。
エキスパンダーグラフ: グラフの拡張度に応じて符号パラメータが変化する、局所的な符号を構築できます。