Konsep Inti
内分泌攪乱物質への曝露は、細胞タイプ特異的な方法でエピゲノムを攪乱し、遺伝子発現パターンの異常を引き起こす。この攪乱は世代を超えて持続する可能性がある。
Abstrak
本研究では、マウスの多能性幹細胞(iPS細胞)、体細胞(セルトリ細胞、顆粒膜細胞)、生殖細胞(始原生殖細胞様細胞)を用いて、内分泌攪乱物質のビスフェノールSに対する細胞タイプ特異的な感受性を調べた。
- iPS細胞、セルトリ細胞、顆粒膜細胞は、ビスフェノールSに対して濃度依存的にDNA methylationの変化(エピ変異)と遺伝子発現の変化を示した。
- 細胞タイプ間で、エピ変異の量と質に違いがあった。セルトリ細胞と顆粒膜細胞では、エンハンサー領域でのエピ変異が多く、エストロゲン受容体の発現と関連していた。一方、始原生殖細胞様細胞では、プロモーター領域でのエピ変異が多く、エストロゲン受容体を発現していなかった。
- ビスフェノールSは、エストロゲン受容体を発現していない細胞でもエピ変異を誘発したことから、カノニカルな内分泌シグナル経路以外の機構も関与していると考えられる。
- iPS細胞をビスフェノールSに曝露し、始原生殖細胞様細胞に分化させると、多くのエピ変異と遺伝子発現変化が保持されたが、ほとんどが新規のものであった。これは、内分泌攪乱物質への曝露が、エピゲノムの基盤となるクロマチン構造を攪乱し、その後の細胞分化・リプログラミングの過程でも新たなエピ変異が生じるためと考えられる。
Statistik
ビスフェノールSに曝露したiPS細胞では、38,105個のDMCsと1,637個のDEGsが検出された。
ビスフェノールS曝露後のiPS細胞から誘導した始原生殖細胞様細胞では、28,169個のDMCsと1,437個のDEGsが検出された。
iPS細胞から始原生殖細胞様細胞への分化過程で、DMCsの3.7%、DEGsの8.4%のみが保持された。
Kutipan
"EDCsは、正常な遺伝子発現パターンの異常を引き起こし、疾患状態を誘発する可能性のある、エピゲノムの攪乱を引き起こすことが示されている。"
"内分泌攪乱物質への曝露が、エピゲノムの基盤となるクロマチン構造を攪乱し、その後の細胞分化・リプログラミングの過程でも新たなエピ変異が生じる可能性がある。"