Core Concepts
EFR受容体キナーゼは、自身の触媒活性を必要とせずに、BAK1共受容体キナーゼを非触媒的に活性化することで免疫シグナル伝達を促進する。
Abstract
本研究では、EFR受容体キナーゼがBAK1共受容体キナーゼを非触媒的に活性化することで免疫シグナル伝達を促進する機構を明らかにした。
EFRは活性型キナーゼであるが、触媒不活性変異体でもBAK1の触媒活性を高めることができる。水素-重水素交換質量分析と相同性に基づく変異導入の実験から、EFRキナーゼドメインが活性型の立体構造を取ることが、BAK1の活性化に必要であることが示された。
EFRのA-ループリン酸化とVIa位のチロシンリン酸化は、EFRキナーゼドメインの活性型立体構造を安定化し、BAK1の非触媒的な活性化を促進する。一方、これらの変異体では受容体複合体の活性化が阻害される。
二次サイト変異EFR F761Hを導入することで、A-ループリン酸化やVIa位チロシンリン酸化を欠くEFR変異体の機能が部分的に回復した。これは、EFRキナーゼドメインの活性型立体構造の安定化が、BAK1の活性化に重要であることを示唆している。
さらに、EFRと同じLRR-RKサブファミリーXIIaに属する他のキナーゼドメインも、触媒活性を必要とせずに免疫シグナル伝達を誘導できることが明らかになった。このことから、植物受容体キナーゼにおける非触媒的な活性化機構は広く保存されていると考えられる。
Stats
EFRキナーゼドメインの活性型立体構造は、BAK1の活性化に必要不可欠である。
EFRのA-ループリン酸化とVIa位チロシンリン酸化は、EFRキナーゼドメインの活性型立体構造を安定化する。
EFR F761H変異は、A-ループリン酸化やVIa位チロシンリン酸化を欠くEFR変異体の機能を部分的に回復させる。
Quotes
EFRは自身の触媒活性を必要とせずに、BAK1共受容体キナーゼを非触媒的に活性化することで免疫シグナル伝達を促進する。
EFRキナーゼドメインの活性型立体構造の安定化が、BAK1の活性化に重要である。
植物受容体キナーゼにおける非触媒的な活性化機構は広く保存されていると考えられる。