Core Concepts
非線形システムの同定では、モデル化誤差が大きな問題となるため、システムの全操作範囲を網羅するような実験設計が重要である。本研究では、状態空間表現で記述される非線形システムに対して、空間充填性の高い入力信号を設計する手法を提案する。
Abstract
本論文では、状態空間表現で記述される非線形システムに対して、システムの全操作範囲を網羅するような空間充填性の高い入力信号を設計する手法を提案している。
提案手法の特徴は以下の通りである:
- 入力信号のパラメータ化に柔軟性があり、マルチサイン信号などの広範なクラスの入力信号を扱うことができる。
- 入力信号のパラメータと状態の関係を考慮した空間充填性の評価関数を定義し、勾配ベース最適化手法を用いて最適な入力信号を設計する。
- 評価関数の滑らかさと数値的安定性を高めるため、指数関数型のメンバーシップ関数を導入している。
- 振幅制約などの追加制約条件を最適化問題に組み込むことができる。
提案手法の有効性は、非線形質量-ばね-ダンパシステムの例題を通して示されている。初期ランダムな入力信号に比べ、最適化された入力信号は空間充填性が大幅に向上していることが確認された。また、モンテカルロシミュレーションによって、提案手法の初期値依存性が小さいことも示された。
Stats
本システムの共振周波数は1 Hzである。
最適化された入力信号のクレストファクターは3.67である。
一方、シュレーダーマルチサイン信号のクレストファクターは1.87である。