Core Concepts
酸素欠損を導入したVO2薄膜(VO2-x)を用いることで、ニューロンデバイスの動作電圧を低減し、消費電力を抑えつつ高速動作を実現できる。さらに、VO2-xベースのスパイキングニューラルネットワークを構築し、MNISTデータセットを用いた画像認識タスクで高精度を達成した。
Abstract
本研究では、酸素欠損を導入したVO2薄膜(VO2-x)を作製し、その電気的特性の調整を行った。酸素欠損の導入により、VO2-xベースのニューロンデバイスの動作電圧を低減し、消費電力を抑えつつ高速動作を実現できることを示した。
具体的には以下の通り:
MBE法によりVO2-x薄膜を作製し、酸素欠損濃度を制御した。XAS測定により、酸素欠損濃度の増加に伴う電子状態の変化を確認した。
酸素欠損濃度の異なるVO2-xデバイスを作製し、しきい値電圧や発振特性が酸素欠損濃度に依存することを明らかにした。
VO2-xベースのスパイキングニューロンデバイスを設計・作製し、入力電圧や外部抵抗値の変化に応答して発振特性が変化することを示した。
VO2-xベースのスパイキングニューラルネットワークを構築し、MNISTデータセットを用いた画像認識タスクで高精度(約90%)を達成した。
本研究は、酸素欠損を利用したVO2デバイスの特性制御が、エネルギー効率の高い高速ニューロモーフィックコンピューティングシステムの実現に有効であることを示している。
Stats
VO2-xデバイスのしきい値電圧は酸素欠損濃度の増加に伴い低下する。
VO2-xデバイスの動作周波数は印加電圧の増加に伴い上昇する。
VO2-xベースのニューロンデバイスの消費電力は酸素欠損濃度の増加に伴い低下する。
Quotes
酸素欠損の導入により、VO2-xデバイスの動作電圧を低減し、消費電力を抑えつつ高速動作を実現できる。
VO2-xベースのスパイキングニューラルネットワークを用いて、MNISTデータセットの画像認識タスクで高精度(約90%)を達成した。