Core Concepts
オリゴ糖の合成には、位置、立体、化学選択性の制御が必要であるが、従来の保護基操作では多くの合成工程を要する。本研究では、未保護または最小限の保護基を持つドナーとアクセプターを触媒的に選択的にカップリングする新しい手法を開発した。
Abstract
オリゴ糖は生物学全般にわたって多様な機能を持つが、その構造的複雑さから合成が困難である。従来の方法では、位置、立体、化学選択性を制御するために保護基の操作が必要で、多くの合成工程を要していた。
本研究では、未保護または最小限の保護基を持つドナーとアクセプターを触媒的に選択的にカップリングする新しい手法を開発した。アリルグリコシルスルホンのラジカル活性化によりグリコシルブロミドを生成し、アミノボロン酸触媒がこの反応中間体とアクセプターを水素結合や可逆的なB-O結合で接近させることで、精密なグリコシル化を実現している。触媒の種類を変えることで、グリコシル化の位置を切り替えられる。
この手法は様々な糖に適用可能で、天然オリゴ糖鎖や11個の遊離水酸基を持つペンタ糖の合成に利用できる。実験と計算化学的な検討から、選択性発現の機構が明らかになった。
Stats
オリゴ糖合成には位置、立体、化学選択性の制御が必要である。
従来の保護基操作では多くの合成工程を要する。
本手法では未保護または最小限の保護基を持つドナーとアクセプターを触媒的に選択的にカップリングできる。
様々な糖に適用可能で、天然オリゴ糖鎖やペンタ糖の合成に利用できる。
Quotes
「オリゴ糖の合成には、位置、立体、化学選択性の制御が必要である」
「従来の方法では、保護基の操作が多くの合成工程を要していた」
「本手法では、未保護または最小限の保護基を持つドナーとアクセプターを触媒的に選択的にカップリングできる」