Core Concepts
ゲノムワイド関連研究で同定されたアルツハイマー病リスク関連変異体PTK2Bは、誘導多能性幹細胞由来の微小グリア細胞において、クロマチン構造の変化や転写因子CEBPB結合の増加を引き起こし、遺伝子発現パターンと細胞機能に影響を及ぼす。
Abstract
本研究では、ゲノムワイド関連研究で同定されたアルツハイマー病リスク関連変異体PTK2Bの機能的影響を検証した。
まず、この変異体をヒト誘導多能性幹細胞に導入し、マクロファージや微小グリア細胞に分化させた。
その結果、変異体では、PTK2Bや関連遺伝子CLUの発現に大きな影響はないものの、PTK2B遺伝子内のエンハンサー領域のクロマチン構造が変化し、転写因子CEBPB結合が増加することが明らかになった。
さらに、この変異体は微小グリア細胞の遺伝子発現パターンと機能に影響を及ぼしていた。具体的には、インターフェロンγ応答性遺伝子群の発現変化や走化性の変化が観察された。
以上の結果から、PTK2B変異体はアルツハイマー病の発症に関与する可能性があり、その機序として微小グリア細胞の反応性の変化が重要であると考えられる。
Stats
アルツハイマー病リスク変異体PTK2Bは、ヒト誘導多能性幹細胞由来の微小グリア細胞において、PTK2Bや関連遺伝子CLUの発現に大きな影響を及ぼさないが、PTK2B遺伝子内のエンハンサー領域のクロマチン構造を変化させ、転写因子CEBPB結合を増加させる。
この変異体は微小グリア細胞の遺伝子発現パターンと機能にも影響を及ぼし、インターフェロンγ応答性遺伝子群の発現変化や走化性の変化が観察された。
Quotes
「ゲノムワイド関連研究で同定されたアルツハイマー病リスク関連変異体PTK2Bは、誘導多能性幹細胞由来の微小グリア細胞において、クロマチン構造の変化や転写因子CEBPB結合の増加を引き起こし、遺伝子発現パターンと細胞機能に影響を及ぼす。」
「この変異体は微小グリア細胞の反応性の変化を介して、アルツハイマー病の発症に関与する可能性がある。」