Core Concepts
重症外傷患者の救命には迅速な対応が不可欠だが、専門的な訓練を受けた医療スタッフが常に現場にいるわけではない。そこで、自動的に輸血、輸液、昇圧剤を投与するシステムを開発し、最小限の人的介入で重症患者の蘇生を可能にする。
Abstract
重症外傷患者の救命には「黄金の1時間」と呼ばれる短い時間内に適切な処置を行う必要がある。しかし、遠隔地や救急医療体制の整っていない地域では、専門的な訓練を受けた医療スタッフが迅速に対応することが難しい。そこで、研究者らは自動蘇生システム「ReFit」を開発した。
ReFitシステムは、動脈カテーテルから得られる血行動態データを基に、輸血、輸液、昇圧剤の投与量を自動的に調整する。まず、患者の血圧や心拍数が一定の基準を満たしていない場合は輸血から開始する。その後は、脈圧変動を指標に輸液と昇圧剤の投与量を自動的に調整し、患者の循環動態を安定化させる。
この自動蘇生システムの有効性を検証するため、研究者らは麻酔下の豚を用いて実験を行った。肝臓を損傷させ、出血性ショックを引き起こした後、ReFitシステムを作動させた。その結果、ReFit群では3時間以内に全例が生存したのに対し、対照群では2例中1例が死亡した。さらに、豚を搬送しながらもReFitシステムを作動させ、3時間以内に全例が生存できることを示した。
このようなシステムは、特に遠隔地や戦場などの医療資源が限られた環境で威力を発揮すると期待される。専門的な訓練を受けた医療スタッフが常に現場にいるわけではないため、自動的に患者の蘇生を行えるこのようなシステムは、重症外傷患者の救命率向上に貢献できるだろう。
Stats
出血性ショックを引き起こした豚15頭のうち、ReFitシステムを使用した8頭全員が3時間以内に生存した。
対照群の3頭のうち2頭が3時間以内に死亡した。
豚を搬送しながらもReFitシステムを作動させた4頭全員が3時間以内に生存した。
Quotes
"黄金の1時間": 重症外傷患者の救命チャンスが最も高い60分間
"自動外傷医療ロボット": 遠隔地や医療資源の乏しい環境で活用できる可能性