Core Concepts
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの新薬ジビノスタットが欧州で承認待ちの状況にあり、その承認は患者の生活の質の向上に大きな影響を与える可能性がある。
Abstract
本記事は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの新薬ジビノスタットの承認状況と治療効果について報告している。
まず、ジビノスタットは米国食品医薬品局(FDA)によって6歳以上のデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者に対する初の非ステロイド性療法として承認された。欧州でも同様の承認申請が行われており、欧州医薬品庁(EMA)と英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)が審査中である。
ジビノスタットは、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤であり、DNA立体構造の変化によって遺伝子発現を修飾し、筋肉の炎症や線維化、脂肪浸潤を抑制し、筋再生を促進する。
第3相EPIDYS試験の結果、ジビノスタットは4段階昇降時間の改善など、臨床的に意義のある効果を示した。また、大腿筋の脂肪浸潤の進行を遅らせることが明らかになった。
ジビノスタットは、ステロイド治療と併用することで病態進行を遅らせる可能性がある。さらに、ベッカー型筋ジストロフィーへの適用も検討されている。
専門家は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療には異なる作用機序を持つ薬剤の組み合わせが重要だと指摘している。ジビノスタットの承認は患者にとって大きな福音となる可能性がある。
Stats
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者数は欧州で約25,000人
EPIDYS試験では179人の6歳以上の男児患者が2:1でジビノスタットとプラセボに割り付けられた
ジビノスタット群では4段階昇降時間の改善が認められた
副作用として血小板減少症、下痢、高トリグリセリド血症の発現率が増加した
Quotes
"ジビノスタットは、まだ筋線維が残っている間は効果を発揮する。デュシェンヌ型筋ジストロフィーは進行性の疾患で、13歳か15歳までには歩行不能になってしまう。"
"デュシェンヌ型筋ジストロフィーは複雑な全身性疾患である。異なる作用機序を持つ薬剤を組み合わせることで、相乗的な効果が期待できる。"