Core Concepts
異なる材料の低エネルギー水素イオンビーム照射と高電界パルス試験を行い、RFQ構造の製造に適した材料を見出すことを目的とする。
Abstract
本研究では、より効率的で耐久性の高いRFQ構造の製造に適した材料を見出すことを目的としている。
- 従来のRFQは銅製であるが、高電界への曝露による表面劣化や水素イオンビームによる表面のブリスタリングが問題となっている。
- 本研究では、Cu-OFE、CuCr1Zr、CuBe2、Ti6Al4V、SS316LN、Nb、Taの7種類の材料を対象に、45 keVの低エネルギー水素イオンビーム照射と高電圧パルス試験を行った。
- 照射前後の表面状態をSEMやEDSで分析し、材料の特性と高電界耐性の関係を調べた。
- 照射によりCu系合金でブリスタリングが観察されたが、ブリスタリングと絶縁破壊の直接的な関係は見出せなかった。
- SS316LN、CuCr1Zr、CuBe2は銅よりも高い最大表面電界を示し、RFQ製造に有望な候補材料と考えられる。一方、照射材は非照射材に比べ大幅な性能低下が見られた。
- 照射材の性能低下の主な原因は、照射によるカーボン層の付着であると考えられる。カーボン層の除去が今後の課題である。
Stats
照射材のCuBe2は最大電界45 MV/m、安定電界16.7 MV/mと非照射材(最大110 MV/m、安定90 MV/m)に比べ大幅に低下した。
照射材のCuCr1Zr は最大電界29 MV/m、安定電界25 MV/mと非照射材(最大87.5 MV/m、安定82.5 MV/m)に比べ低下した。
照射材のSS316LNは最大電界62.5 MV/m、安定電界60 MV/mと非照射材(最大120 MV/m)に比べ半分程度の性能に留まった。
照射材のTaは最大電界35 MV/m、安定電界23 MV/mと非照射材(最大60 MV/m、安定60 MV/m)に比べ低下した。
Quotes
"照射によりCu系合金でブリスタリングが観察されたが、ブリスタリングと絶縁破壊の直接的な関係は見出せなかった。"
"照射材の性能低下の主な原因は、照射によるカーボン層の付着であると考えられる。"