Core Concepts
デボン紀後期の三翼種子化石 Alasemenia tria は、包被のない初期種子植物の分散戦略を示唆している。
Abstract
デボン紀後期の種子化石 Alasemenia tria は、三枚の広い翼状の被子葉を持つ特徴的な化石である。この化石は、中国安徽省の新杭化石林から発見された。Alasemenia は、デボン紀後期の種子植物の中で最も早期に登場した風散布型の種子化石の一つである。
Alasemenia の種子は、滑らかな二回ないし三回の二叉分岐した枝の先端に着生しており、包被はない。各種子には三枚の広い翼状の被子葉が放射状に対称的に付いている。これらの被子葉は外側に大きく広がり、核に密着しながら先端部分は自由に伸びている。被子葉は腹側で折り畳まれており、核の大部分を包み込む。
Alasemenia の種子形態は、デボン紀後期の他の翼状種子化石であるGuaziaやWarsteiniaとも異なる特徴を示す。Alasemenia の被子葉は長く外側に大きく広がるため、落下速度を低下させ、風散布に適した形態を示す。数学的解析の結果、三翼の種子は一翼や二翼の種子に比べて風散布能力が優れていることが示された。
Alasemenia の無包被の種子は、包被を持つ初期種子植物の被子葉が新たな機能として風散布に適応したことを示唆する。また、Alasemenia の被子葉の広がりは、光合成機能の獲得にも寄与したと考えられる。デボン紀後期の翼状種子化石の出現は、種子植物の適応放散の重要な一里塚であった。
Stats
種子の長さは25.0-33.0 mm、最大幅は3.5-5.6 mm(翼を除く)
被子葉の最大幅は1.2-2.3 mm、自由部分の長さは8.3-14.8 mm(全長の32%-45%)
核の長さは約10-11.7 mm、最大幅は1.2-1.7 mm
Quotes
"Alasemenia suggests that the integuments of the earliest ovules without a cupule evolved functions in wind dispersal and probable photosynthetic nutrition."
"Current evidence indicates that seeds with three or four wings occurred first in the Late Devonian. They were followed by two- or three-winged seeds in the Carboniferous, and then by single-winged seeds in the Permian."