Core Concepts
本研究では、物理的に再帰的なニューラルネットワーク(PRNN)を用いて、有限ひずみ下での速度依存性と経路依存性を考慮した複合材料の微視的解析を行った。PRNNは、構成方程式をネットワークに埋め込むことで、物理的な知識を活用し、高速化と一般化を実現する。
Abstract
本研究では、物理的に再帰的なニューラルネットワーク(PRNN)を用いて、有限ひずみ下での速度依存性と経路依存性を考慮した複合材料の微視的解析を行った。
まず、PRNN のアーキテクチャを拡張し、3次元有限ひずみ問題に適用できるようにした。エンコーダでは、変形勾配テンソルを適切に扱うための工夫を行い、マテリアルレイヤーでは、速度依存性と経路依存性を考慮した構成モデルを埋め込んだ。デコーダでは、均質化プロセスを反映するための物理的な制約を導入した。
次に、単方向複合材料のマイクロモデルを対象に、様々な負荷経路を考慮してデータを生成した。単調負荷、非単調負荷、比例負荷、非比例負荷などのケースを検討し、PRNNの一般化性能を評価した。
その結果、PRNNは、訓練時に見ていない負荷経路や速度に対しても高い予測精度を示した。特に、非単調負荷や非比例負荷といった複雑な負荷ケースでも良好な性能を発揮した。これは、物理的な知識を活用することで、ネットワークが内部変数の履歴依存性を適切に学習できたためと考えられる。
本研究により、PRNNが有限ひずみ下での速度依存性と経路依存性を考慮した複合材料の微視的解析に有効であることが示された。この手法は、高速化と一般化の両立を実現し、マルチスケール解析の効率化に貢献できると期待される。
Stats
速度依存性と経路依存性を考慮した複合材料の微視的解析では、高い計算コストが課題となる。
本研究のPRNNモデルでは、オリジナルのマイクロモデルに比べて3桁の高速化が達成された。
Quotes
"本研究では、物理的に再帰的なニューラルネットワーク(PRNN)を用いて、有限ひずみ下での速度依存性と経路依存性を考慮した複合材料の微視的解析を行った。"
"PRNNは、物理的な知識を活用することで、ネットワークが内部変数の履歴依存性を適切に学習できた。"