本研究は、北極圏および高山ツンドラ生態系における136のオープントップチャンバー実験データを分析することで、温暖化がツンドラ生態系の呼吸作用に及ぼす影響を明らかにしたものである。
分析の結果、平均気温が1.4°C、土壌温度が0.4°C上昇すると、生育期間中の生態系呼吸作用が30%増加することが示された。この呼吸作用の増加は、植物と微生物の両方の呼吸の増加によるものであり、少なくとも25年間持続することが明らかになった。
さらに、この呼吸作用の増加の程度は、局所的な土壌条件の変化、特に窒素濃度や炭素/窒素比の変化によって影響を受けることが分かった。窒素制限の強いサイトや、温暖化によって植物と微生物の栄養循環が促進されたサイトでは、呼吸作用の増加が特に大きかった。
このように、温暖化によるツンドラ生態系の呼吸作用の増加は、局所的な土壌条件の変化によって大きな影響を受けることが示された。今後の気候変動に伴う陸域炭素循環への影響を予測する上で、このような局所的な要因を考慮することが重要であると考えられる。
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