Core Concepts
遺伝子型と表現型を直接リンクさせることで、効率的に高親和性の広範囲反応性抗体を単離できる新しい抗体スクリーニングシステムを開発した。
Abstract
本研究では、抗体の遺伝子型と表現型を直接リンクさせる新しい抗体スクリーニングシステムを開発した。このシステムでは、ゴールデンゲートクローニングを用いて重鎖と軽鎖の遺伝子を1つのベクターにリンクさせ、細胞表面に膜結合型抗体を発現させる。この膜結合型抗体の抗原結合能を指標に、フローサイトメトリーによる高速スクリーニングを行うことで、効率的に高親和性の広範囲反応性抗体を単離できる。
実験では、インフルエンザウイルスのヘマグルチニン(HA)抗原に対する広範囲反応性抗体を単離した。マウスにHAタンパク質を免疫して誘導した広範囲反応性B細胞を、本システムを用いてスクリーニングした結果、HA抗原の複数のサブタイプに結合する高親和性抗体を効率的に単離できた。これらの抗体は、従来の広範囲反応性抗体と同等の特性を示した。
本システムは、感染症パンデミックなどの緊急時に迅速な抗体医薬品開発に役立つと期待される。また、自動化と組み合わせることで、様々な疾患に対する有用な抗体を大量に取得できる可能性がある。
Stats
単離した9つの広範囲反応性抗体のHA抗原に対する親和性(Kd)は500 nMから100 nMの範囲であった。
そのうち1つの抗体C10p2は、A/California/2009 (X-179A) [H1N1] Pdm09株のHAに対して5.66 × 1010 Mの高い親和性を示した。
7つの抗体がH5N1株のHAにも結合し、6つの抗体がH3N2株のHAにも結合した。
2つの抗体はA/Brisbane/59/2007株のHAのステム領域を認識した。
Quotes
"我々の技術は、感染症パンデミックなどの緊急時に迅速な抗体医薬品開発に役立つと期待される。"
"本システムは、自動化と組み合わせることで、様々な疾患に対する有用な抗体を大量に取得できる可能性がある。"