Core Concepts
本研究では、キナーゼ立体構造変化を追跡するKinConレポーターシステムを用いて、BRAF、LKB1、RIPK1、CDK4/6などの疾患関連キナーゼの立体構造ダイナミクスを解明した。キナーゼの活性化状態は、変異、翻訳後修飾、タンパク質相互作用、低分子化合物結合によって大きく変化することが示された。
Abstract
本研究では、疾患関連キナーゼの立体構造変化を追跡するKinConレポーターシステムを用いて、以下の知見を得た。
BRAF-V600E変異は、BRAFキナーゼを開いた活性型の立体構造に固定する一方で、メラノーマ治療薬はBRAFを閉じた不活性型の立体構造に変換する。
LKB1は、STRADαおよびMO25との三量体複合体形成によって活性化される。LKB1の一部の変異は、この三量体複合体形成を阻害し、LKB1の活性型立体構造を維持できなくなる。
RIPK1は、自己リン酸化やTNFシグナル活性化によって開いた活性型の立体構造をとる。一方、アロステリック阻害薬の結合によって、RIPK1を閉じた不活性型の立体構造に変換する。
CDK4/6は、p16INK4aとの結合によって不活性型の立体構造をとるが、p16INK4a結合能の低下変異によって開いた活性型の立体構造をとる。一方、CDK4/6阻害薬は、CDK4/6の立体構造を変化させない。
これらの知見は、キナーゼの立体構造ダイナミクスを理解し、より効果的な治療戦略を開発するうえで重要である。
Stats
BRAF-V600Eキナーゼは開いた活性型の立体構造をとる。
PLX8394はBRAFキナーゼを閉じた不活性型の立体構造に変換する。
LKB1-W308C変異は、LKB1の活性型閉じた立体構造を維持できない。
RIPK1の自己リン酸化部位変異(S14/15/166A、S14/15/166E)は、RIPK1を開いた活性型の立体構造にする。
CDK4-R24C、CDK6-R31C変異は、p16INK4aとの結合を減少させ、CDK4/6を開いた活性型の立体構造にする。
Quotes
「キナーゼは分子スイッチとして機能し、活性型(ON)と不活性型(OFF)の立体構造状態を取る」
「LKB1は、STRADαおよびMO25との三量体複合体形成によって活性化される」
「RIPK1の自己リン酸化は、RIPK1の活性型開いた立体構造に重要である」
「CDK4/6の活性は、cyclinDやp16INK4aとの結合によって制御される」