Core Concepts
ドロソフィラ翅板上皮組織において、核の位置と局所的な acetyl-CoA 産生がヒストン acetylation のパターンを制御し、遺伝子発現を調節する。
Abstract
本研究では、ドロソフィラ翅板上皮組織におけるヒストン acetylation のパターンを解析した。その結果、以下の知見が得られた:
H3K18ac、H4K8ac、総リジンアセチル化は、翅板の外縁部で高レベルを示す。
この acetylation パターンは、核が上皮内を頂端から基底側に移動することで制御される。表層に近い核では acetylation が高い。
表層の核では acetyl-CoA 合成酵素の発現が高く、acetyl-CoA 産生が亢進している。
表層の acetylation には脂肪酸β酸化が炭素源として重要である。β酸化阻害により、翅板発生関連遺伝子の近傍の H3K18ac が減少する。
以上より、ドロソフィラ翅板上皮では、核の位置と局所的な acetyl-CoA 産生が、ヒストン acetylation のパターンを制御し、遺伝子発現を調節していることが明らかになった。
Stats
翅板外縁部の核では、acetyl-CoA 合成酵素の発現が高い。
脂肪酸β酸化阻害により、翅板発生関連遺伝子近傍のH3K18ac が減少する。
Quotes
「核の位置と局所的な acetyl-CoA 産生がヒストン acetylation のパターンを制御し、遺伝子発現を調節する」
「表層の核では acetylation が高く、acetyl-CoA 合成酵素の発現も高い」