Core Concepts
Nir1-LNS2は高感度のリン酸脂質ビオセンサーであり、細胞内のリン酸脂質動態を実時間で調べることができる。
Abstract
本研究では、リン酸脂質(PA)の細胞内機能を研究するための新しいビオセンサーNir1-LNS2を開発した。Nir1-LNS2は、既存のSpo20ドメインを用いたビオセンサーよりも高感度にPAを検出できることが明らかになった。
まず、Spo20ドメインを用いたPA ビオセンサーの特性を評価した。これらのビオセンサーは核内局在が強く、PAに対する感度が低いことがわかった。一方、Nir1-LNS2は細胞膜への局在が高く、PMAによるPLD活性化に対して非常に高い応答性を示した。
次に、精製したNir1-LNS2タンパク質を用いたリポソーム結合アッセイにより、Nir1-LNS2がPAとPIP2に特異的に結合することが明らかになった。しかし、細胞内では主にPAに依存して細胞膜に局在することが示された。
さらに、Nir1-LNS2を用いて、PLC活性化に伴うPA産生においてPLDが寄与していることを検出できた。これは、これまでのSpo20ベースのビオセンサーでは検出できなかった新しい知見である。
以上より、Nir1-LNS2は高感度のPAビオセンサーとして、細胞内のPA動態を詳細に解析できる強力なツールであることが示された。
Stats
PMAによる刺激後のNir1-LNS2の細胞膜局在の増加は、PLDの阻害剤FIPIの添加によって抑制された。
PLC活性化に伴うNir1-LNS2の細胞膜局在の増加は、PLD阻害剤FIPIの添加によって部分的に抑制された。
Quotes
「Nir1-LNS2は高感度のPAビオセンサーとして、細胞内のPA動態を詳細に解析できる強力なツールである」
「Nir1-LNS2は、PLC活性化に伴うPA産生においてPLDが寄与していることを検出できた」