Core Concepts
コヒーシンによる染色体ループ押し出しが、CTCF非依存的な生物種においても染色体の空間的構造形成の主要メカニズムである。
Abstract
本研究では、染色体の空間的構造形成における「ループ押し出し」メカニズムの普遍性を検討している。
ループ押し出しモデルでは、コヒーシンタンパク質が染色体上を移動しながら、ループを形成・押し出していくことで、染色体の空間的構造が決まると考えられている。これまでは、脊椎動物ではCTCFタンパク質がループ押し出しの障壁として機能すると考えられていた。
しかし、CTCF非発現生物種や、CTCF結合サイトが少ない生物種においても、明確な染色体ドメイン(TAD)構造が観察される。そこで本研究では、CTCF非依存的な「保存電流ループ押し出し(CCLE)」モデルを提唱した。
このモデルでは、コヒーシンの染色体上の分布パターンから、ループ押し出しの速度を推定することができる。この推定値を用いて、出芽酵母とシゾ酵母のHi-Cデータを再現することに成功した。
つまり、コヒーシンによるループ押し出しが、CTCF非依存的な生物種においても染色体構造形成の主要メカニズムであることが示された。また、モデルから得られたループ押し出しパラメータは、独立した実験データとも整合的であった。
Stats
コヒーシンの染色体上の分布から推定したループ押し出し速度は、出芽酵母とシゾ酵母の染色体ドメイン構造を再現することができた。
Quotes
"コヒーシンによるループ押し出しが、CTCF非依存的な生物種においても染色体構造形成の主要メカニズムである"
"モデルから得られたループ押し出しパラメータは、独立した実験データとも整合的であった"