Core Concepts
ミクロRNA-34aとその標的mRNAの結合様式は、ミクロRNA-34aによる遺伝子発現抑制の効率を決定する重要な要因である。
Abstract
本研究では、ヒトの腫瘍抑制ミクロRNA-34aと12の標的mRNAの相互作用を、電気泳動シフトアッセイ(EMSA)、ルシフェラーゼレポーターアッセイ、構造プローブ(RABS)を用いて解析した。
主な知見は以下の通り:
ミクロRNA-34aとmRNAの二重鎖結合親和性は、ミクロRNA-34a-AGO2複合体の親和性を良好に予測できる。AGO2は、弱い結合を強め、強い結合を弱めることで、結合親和性の範囲を狭める。
ミクロRNA-34aとmRNAの結合様式は3つのグループ(ミクロRNA側のブルジ、mRNA側のブルジ、対称的)に分類でき、それぞれ遺伝子発現抑制効率と相関する。ミクロRNA側のブルジを形成するグループは高い抑制効率を示す。
分子動力学シミュレーションにより、ミクロRNA側のブルジ構造がAGO2内に適合的に収まることが示唆された。
以上より、ミクロRNA-mRNA複合体の構造的特徴がミクロRNA標的遺伝子の発現抑制効率を決定する重要な要因であることが明らかになった。この知見は、ミクロRNA標的予測アルゴリズムの改善に役立つと考えられる。
Stats
ミクロRNA-34aとmRNAの二重鎖結合親和性(KD,app)は4桁の範囲に及ぶ。
ミクロRNA-34a-AGO2複合体への結合親和性は3桁の範囲に収まる。
強結合標的のSIRT1では、AGO2結合により親和性が10倍弱まる一方、弱結合標的のMTA2では10倍強まる。
Quotes
"AGO2は、弱い結合を強め、強い結合を弱めることで、結合親和性の範囲を狭める。"
"ミクロRNA側のブルジを形成するグループは高い遺伝子発現抑制効率を示す。"
"ミクロRNA-mRNA複合体の構造的特徴がミクロRNA標的遺伝子の発現抑制効率を決定する重要な要因である。"