Core Concepts
Kv1.2カリウムチャネルの開状態、C型不活性化状態、毒素阻害状態、ナトリウム結合状態の高分解能クライオ電子顕微鏡構造を明らかにし、選択性フィルターのイオン占有パターンの違いを示した。
Abstract
本研究では、哺乳類電位依存性カリウムチャネルKv1.2の開状態、C型不活性化状態、毒素阻害状態、ナトリウム結合状態の高分解能クライオ電子顕微鏡構造を明らかにした。
開状態のKv1.2は、以前報告されたShaker型チャネルやKv1.2-2.1キメラチャネルの構造と非常によく似ていた。一方、新たに明らかになった2つの構造では、選択性フィルターのイオン占有パターンが予期せぬものであった。
まず、毒素α-デンドロトキシンが結合した構造では、毒素のリジン残基が選択性フィルターに侵入し、最外層のイオン結合サイトを部分的に乱すことが分かった。また、残りのフィルター内には通常の3つのイオン結合サイトではなく2つのイオン密度が観察された。
次に、ナトリウム溶液中のKv1.2構造では、選択性フィルターの崩壊や不安定化は見られず、むしろ完全な選択性フィルターにイオン密度が観察された。
一方、C型不活性化変異体Kv1.2 W366Fのナトリウム溶液中の構造は高可塑性を示し、低分解能でしか構造が得られなかった。これは、カリウムイオンの強固な結合が選択性フィルターの安定化に必要であることを示唆している。
これらの知見は、この広く研究されている電位依存性カリウムチャネルの選択性フィルターの安定性とトキシン阻害のメカニズムについての新しい洞察を提供する。
Stats
開状態Kv1.2の分解能は3.2Åであった。
C型不活性化状態Kv1.2 W366Fの分解能は2.5Åであった。
毒素阻害状態Kv1.2の分解能は3.2Åであった。
ナトリウム結合状態Kv1.2の分解能は2.9Åであった。
ナトリウム溶液中のKv1.2 W366Fの構造は高可塑性を示し、低分解能でしか得られなかった。
Quotes
"選択性フィルターの安定性と毒素阻害のメカニズムについての新しい洞察を提供する。"
"カリウムイオンの強固な結合が選択性フィルターの安定化に必要である。"
"開状態のKv1.2は、以前報告されたShaker型チャネルやKv1.2-2.1キメラチャネルの構造と非常によく似ていた。"