Core Concepts
ショウジョウバエのOPA1遺伝子欠損は、ヒトの自動優性視神経萎縮症の病理を模倣し、ヒトOPA1遺伝子の発現によりその変性が部分的に回復する。さらに、ヒトOPA1遺伝子の特定の変異は、この回復を抑制することで、機能低下型と優性阻害型の変異を区別できる。
Abstract
本研究では、ショウジョウバエのOPA1遺伝子欠損が、視神経の変性を引き起こすことを明らかにした。この変性は、ヒトOPA1遺伝子の発現によって部分的に回復した。一方で、ヒトOPA1遺伝子の特定の変異体は、この回復を抑制した。
具体的には以下の通り:
- ショウジョウバエのOPA1遺伝子欠損により、視神経軸索の変性と、ミトコンドリアの断片化、活性酸素種の増加が観察された。
- ヒトOPA1遺伝子の発現により、この視神経軸索の変性が部分的に回復した。
- しかし、ヒトOPA1遺伝子の特定の変異体(D438V、R445H)は、この回復を抑制した。
- これにより、ヒトOPA1遺伝子の機能低下型変異と優性阻害型変異を区別できることが示された。
本研究で開発されたショウジョウバエモデルは、OPA1遺伝子変異の病理学的意義を明らかにし、自動優性視神経萎縮症の診断に役立つと考えられる。
Stats
視神経軸索数の減少:
対照群と比べ、OPA1 RNAi群では、羽化1日目で有意に軸索数が減少していた。
羽化1週間後にはさらに軸索数が減少した。
ミトコンドリアROS量の増加:
OPA1 RNAi群では、対照群と比べてミトコンドリアROS量が有意に増加していた。