Core Concepts
単一神経前駆細胞における Sonic Hedgehog 応答ダイナミクスと細胞運命決定の間には大きな不均一性が存在する。
Abstract
本研究では、ゼブラフィッシュ胚の神経管形成過程において、単一神経前駆細胞のレベルで Sonic Hedgehog (Shh) 応答ダイナミクスと細胞運命決定の関係を解析した。
- 生きた神経前駆細胞を追跡し、Shh 応答レポーターと細胞運命レポーターの蛍光強度を定量的に測定した。
- 単一細胞レベルでは、Shh 応答ダイナミクスと細胞運命決定の間に大きな不均一性が見られた。同じ運命を選択した細胞でも Shh 応答が大きく異なり、逆に非常に似たShh 応答を示す細胞でも異なる運命を選択することがあった。
- Shh 応答の定量的な特徴(最大応答レベル、平均応答レベル、応答時間)と細胞運命の相関を解析したところ、前方神経管では各指標が良好に相関するのに対し、後方神経管では最大応答レベルのみが相関した。
- これらの結果は、神経前駆細胞における Shh 応答の解釈には不均一性が存在し、その程度は神経管の前後軸位置によって異なることを示している。
Stats
最大応答レベルが高い細胞ほど、より腹側の運命(外側床板細胞、運動神経前駆細胞)を選択する傾向がある。
前方神経管では、Shh 応答の平均レベルや応答時間も細胞運命と良好に相関するが、後方神経管ではこれらの指標は相関が低い。
細胞の位置(前後軸、背腹軸)は、前方神経管では細胞運命を良好に予測できるが、後方神経管では初期には予測力が低く、時間とともに高くなる。
Quotes
"単一細胞レベルでは、Shh 応答ダイナミクスと細胞運命決定の間に大きな不均一性が見られた。"
"前方神経管では各Shh 応答指標が良好に相関するのに対し、後方神経管では最大応答レベルのみが相関した。"
"これらの結果は、神経前駆細胞における Shh 応答の解釈には不均一性が存在し、その程度は神経管の前後軸位置によって異なることを示している。"