Core Concepts
長期の感覚運動刺激は、神経活動依存的に血液脳関門の透過性を変化させ、それが皮質の可塑性に関与する。
Abstract
本研究では、長期の感覚運動刺激が皮質の血液脳関門の透過性を変化させ、それが皮質の可塑性に関与することを示した。
具体的には以下のような知見が得られた:
30分間の四肢刺激により、刺激に対応する感覚運動野の血液脳関門の透過性が一過性に上昇した。この透過性の上昇は、AMPA受容体シグナリングとTGF-βシグナリングに依存していた。
血液脳関門の透過性の上昇は、同部位の長期増強(LTP)の誘発と関連していた。アルブミンの投与によってもLTPが誘発された。
刺激後の遺伝子発現解析では、刺激側の感覚運動野で可塑性関連遺伝子の発現が増加していた。一方で、血液脳関門や炎症関連遺伝子の発現には有意な変化は見られなかった。
ヒトの実験では、30分間の手指運動課題遂行中に、課題に対応する感覚運動野で血液脳関門の透過性の上昇が観察された。
以上の結果から、生理的な神経活動に伴う血液脳関門の変調が、皮質の可塑性に関与することが示唆された。
Stats
刺激後30分の感覚運動野のアルブミン濃度は、非刺激側に比べ有意に高かった。
刺激後4時間と24時間では、アルブミン濃度の上昇は認められなかった。
虚血モデルでは、刺激後24時間の感覚運動野のアルブミン濃度が、刺激群や非刺激群に比べ有意に高かった。
Quotes
"長期の感覚運動刺激は、神経活動依存的に血液脳関門の透過性を変化させ、それが皮質の可塑性に関与する。"
"血液脳関門の透過性の上昇は、同部位の長期増強(LTP)の誘発と関連していた。"
"刺激後の遺伝子発現解析では、刺激側の感覚運動野で可塑性関連遺伝子の発現が増加していた。"