Core Concepts
ショウジョウバエ幼虫の逃避行動において、下行性GABAニューロンSeIN128が、上流のBasinニューロンとA00cニューロンからの入力を受け、ローリング行動の終了と這い行動への移行を促進する抑制的フィードバックを形成している。
Abstract
本研究では、ショウジョウバエ幼虫の逃避行動における神経回路の調整メカニズムを明らかにしている。
幼虫が有害な刺激を受けると、初めの急激な曲がり、次のコルクスクリュー状のローリング、そして最後の素早い這い行動からなる特徴的な逃避反応を示す。これまでの研究で、ローリング行動に関与する神経回路の一部が明らかになっていたが、ローリングから這い行動への移行のメカニズムは不明だった。
本研究では、下行性のSeIN128ニューロンが、上流のBasinニューロンとA00cニューロンからの入力を受け、ローリング行動の終了と這い行動への移行を促進する抑制的フィードバックを形成していることを明らかにした。
具体的には以下の知見が得られた:
SeIN128ニューロンの活性化はローリング行動を抑制し、這い行動への移行を早める。
SeIN128ニューロンはBasin-2ニューロンとA00cニューロンから入力を受ける。
SeIN128ニューロンはGABA作動性の抑制性ニューロンである。
SeIN128ニューロン、Basin-2ニューロン、A00cニューロンからなる抑制的フィードバック回路が、ローリング行動の終了と這い行動への移行を調整している。
これらの知見は、ショウジョウバエ幼虫の逃避行動における時間調整のメカニズムの理解に貢献するものである。
Stats
ローリング行動の持続時間は、Basinsのみ活性化した場合は平均7.2秒だったのに対し、SeIN128とBasinsを同時に活性化した場合は平均1.8秒と大幅に短縮された。
ローリング行動の開始から這い行動の開始までの時間は、Basinsのみ活性化した場合は平均で長かったが、SeIN128とBasinsを同時に活性化した場合は有意に短縮された。
Quotes
"SeIN128 neurons are GABAergic and inhibitory"
"Together with optogenetic experiments showing that co-activation of SeIN128 neurons and Basin-2 influence the temporal dynamics of rolling, our findings collectively suggest that the ensemble of SeIN128, Basin-2, and A00c neurons forms a GABAergic feedback loop onto Basin-2, which inhibits rolling and thereby facilitates the shift to escape crawling."