Core Concepts
前部帯状皮質の損傷は、社会的接触呼びかけ音声の発達を阻害し、その音響的特徴を変化させる。
Abstract
本研究は、新生児期の前部帯状皮質(ACC)損傷が、マーモセットの発声行動の発達に及ぼす影響を調べた。
ACCを損傷したマーモセットは、基本的な発声能力は保たれていたが、社会的接触呼びかけ音声(phee、trill、twitter)の割合が著しく減少した。
社会的接触呼びかけ音声の音響的特徴も変化し、短く、大きく、単調なものになった。
これらの変化は、ACCの損傷が、発声に関わる脳領域(扁桃体、中心灰白質)の抑制性神経細胞の減少を引き起こしたことによると考えられる。
以上の結果から、ACCは社会的発声行動の発達に重要な役割を果たしており、早期の損傷はその後の発達に永続的な影響を及ぼすことが示された。
Stats
ACCの体積は、損傷群で対照群に比べ60%減少していた。
扁桃体の基底内側核と中心灰白質の背側部において、GABA陽性細胞の割合が有意に減少していた。
Quotes
「前部帯状皮質の損傷は、社会的接触呼びかけ音声の発達を阻害し、その音響的特徴を変化させる」
「ACCは社会的発声行動の発達に重要な役割を果たしており、早期の損傷はその後の発達に永続的な影響を及ぼす」